#306

ひでめろ

2016年06月24日 01:02











逢えない事に慣れてゆくと

不意に居なくなったとしても

どこか実感が湧かないでいて

ただいつもの様に過ごしてしまう


最後に何か言えばよかったとか

二度と来ない返事を待っていたり

後悔と言うよりはこれで良かったのかと

心がどの感情にもなれずに

ふわふわと漂っている


思い出は一瞬の出来事で灰になり

何がダメだったのかどこで間違ったのか

来た路を辿るように戻ってみても

何一つ変えられるものはなく

何一つ見つけられはしない


記憶と言うモノは都合よくできていて

良い生地だけを継ぎ接ぎのように重ねて

どれも綺麗な色のはずなのにどうにも汚く見える


時に私には悪戯に人を傷付けるクセがあり

時に私は執拗に虐げられることがある


そんな生き方を憐れと思えど

こんな人生を悲しんだこともない

ただ生きてる事に精一杯で

そのために触れてゆくモノを

穢してしまうことに言葉に出来ぬ何かを背負いながら

僅かながらの光を集める


逢えない事に慣れていくと

逢わない事が普通になって

もうこれで良いのではないかと思ってしまう


最後まで傍に居れるのだろうか

いつか全て幻だったかのような

そんな未来の不安を抱えるよりも先に

手に届いてたはずの周りを見渡せば

もうすでに私は孤独だった









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